大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和37(オ)384 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人船橋重行の上告理由第一点について。

原判決の確定するところによれば、候補者小山はコヤマではなくオヤマであり、

選挙ポスターにも「小山直枝」の氏名の右欄に「オヤマ」と記載されており、議員

候補者中に「大山」またはこれに類する氏のものはなく、また本件選挙の投票中に

「大山ナオエ」なる投票もあり、「大山ナオエ」と記載された郵便物も小山候補に

到達した事実もあるというのである。

論旨もいうように、大と小とはその意味するところは反対概念ではあるが、両者

は、その発音において類似しており、このことと、右原審確定の事実に徴すれば、

原判決が「大山」を「小山」の誤記と認めたのは相当である。論旨は採用できない。

同第二点について。

候補者氏名以外の他事を意識的に記載した投票は法六八条五号により無効とすべ

きであるが、所論検証物一二号の投票は、余分の記載はあるけれども、原判示のと

おり、意識的な他事記載とは認められない。論旨は理由がない。

同第三点について。

「オママ」と記載された投票について、原判決は、稚拙な記載と認定しており、

かかる心証を得られる以上、上告人の筆跡鑑定の申出を却下したからといつて違法

とはいえない。

同第四点について。

所論の各投票の他事記載は、原判決によれば、抹消されているのであるから、こ

れを法六八条五号に該当するものとはいえない。

- 1 -

同第五点について。

原判決の認定によれば、小山直枝は出生直後「みどり」と命名され、部落の人は

「みい子」「みいちやん」と呼んでいたというのであるから、原判決が所論の投票

を有効としたのは正当である。通称と解するについて、所論のように、村全般にわ

たつて公知である必要はない。また、論旨のいう「高山正勝」「福山文枝」とある

を高岡正勝、福山仁の有効投票としなかつたとの所論は本訴に関係のない問題であ

る。所論はいずれも採用することはできない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

裁判官 横 田 正 俊

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!